四季と年中行事

街路樹

香港でよくみられる、ガジュマルの木。枝から気根が盛大に垂れさがっているのが特徴的。亜熱帯気候ならではの植物だなーと思います。

ちなみに、香港には一応四季があります。が、一年の半分は夏。残りの半年で、秋・冬・春とめまぐるしく移り変わります。つまり、「なつ~~~~~~~~~~~ぅぅぅぅぅ、あきふゆはるっっ」と過ぎて、また「なつ~~~~~~~ぅぅぅぅぅぅ」と続く感じです。

冬と言っても、10℃を下回る日は年に数えるほどしかなく、また秋・冬はお天気も良くて過ごしやすい穏やかな日が続くので、旅行には10~12月がおススメです。

春節(旧正月)

旧正月を前に、お正月飾りで賑わうこの時期。欠かせないのは大ぶりの枝ごと活ける桃の花です。

写真は私が住んでいたマンションのロビー。どの家庭やオフィス、ビルでも見かけるのが、こんなアレンジです。まだ咲き始める前の大きな枝を市場で買い、その枝には赤い「お年玉袋」をぶら下げます(お年玉袋の中身はさすがに空ですが)。お正月が近づくにつれて、どんどんと蕾が開いていく様子に、春の訪れを感じるのです。

桃は良縁を象徴しているので、結婚したい人は、枝の周りを時計回りに三周まわると良いと言われています。この時期、桃の花の周りを不自然にグルグルしている年頃の女性を見かけたら、心の中で密かに応援してあげてくださいね!


旧正月。この時期は縁起物の飾りつけで賑やかですが、その中でよく見かけるのが、写真のように逆さまの「福」の文字です。

これは、「転倒する」の【倒】の発音と、「到来する」の【到】の発音が同じことから、「福が到来しますように」という願いを込めています。

同じ漢字文化圏として洒落が理解できるのは、ちょっと楽しいですね。

 

旧正月につきものの植物といえば、金桔(金柑)、桃花、水仙。

それぞれのもつ意味合いについては諸説あるようですが、金桔(金柑)の「桔」の字は、平安大吉の「吉」と発音が同じため、縁起がいいとされています。黄色くて丸い姿も金のようで、財運向上を象徴しているかのよう。これでもか、とたわわに実った鉢植えに、真っ赤なお年玉袋をビラビラと貼り付けて飾ったりもします。

桃の花には二つの意味が込められていて、一つは「大展鸿图(=事業が発展しますように)」。「图」が「桃」と同じ発音です。また、良縁をもたらすとされています。大きな枝を買ってきて壺に挿し、ダイナミックに飾ります。同じくお年玉袋をビラビラと貼り付けます。

 

水仙は「仙」の字に吉祥の意味が込められているとか、純潔さの象徴とか、良い香りが幸せを運んでくれるとか言われます。丸い鉢に何本かの水仙を同時に咲かせ、ぐるっと赤いリボンを茎に巻きつけた状態の鉢植えが出回っています。

お正月前には花市も立ち、上記以外にも牡丹・百合・菊・蘭など、それぞれに願いを込めた様々な花が出回るなど、文字通り「開花富貴(花が開くように、富に恵まれる)」を象徴するように賑わう季節です。

ちなみに、写真は香港ミニチュア展に出品されていた模型ですが、まるで本物のようですよね!

旧正月がやってきました!
香港でよく交わされるお正月の挨拶は「新年快楽」「身体健康」そして「恭喜發財(=儲かりますように)」。そしてなんといっても、香港の旧正月の習慣で欠かせないのが「利是(=お年玉)」です。

お正月が近づいてくる頃から、銀行やデパートなどで買い物をすると、お年玉袋のパックを粗品としてもらうことが多くなります。写真のように、それぞれお店のロゴが印刷してあります。お年玉袋の色は、中華圏らしく赤か金が多いです。

 

香港のお年玉は、親戚間で大人から子供へ渡すのはもちろんですが、それだけにとどまりません。友人や同僚同士であっても、既婚者から独身者へ渡すほか、会社では上司から部下へ、マンションの居住者が管理人へ、など渡す範囲が広いのです。

 

当然、この時期の香港では大量のお年玉が行き交うことに。ただし、中身は小額の紙幣(HK$10 ~HK$20、日本円で150円~300円程度)がほとんどです。

写真は香港人の既婚者同僚達からいただいたお年玉。幸福のおすそ分けという意味も込められていますから、差し出されたら遠慮なく受け取るのがマナー。

 

また、お年玉を配る立場にありながら省略することは、香港人社会では人間性をも疑われかねないほどのタブー!香港にお勤めの既婚者の方は、正月明けの最初の出勤日には、かならずお年玉袋を大量に用意して、気前よく配ってくださいね。

中秋節

もうすぐ中秋節!旧暦8月15日、太陽暦のカレンダーでは毎年9~10月頃に巡ってきます。2015年は9月28日に当たります。

この時期になると、街中に出回るのはなんといっても月餅。普段お世話になっている親戚や友人、取引先にプレゼントするのが慣例です。日本でいうお中元のような存在といったらわかりやすいでしょうか。会社にも、月餅や秋の果物を盛り付けた果物籠が次々に届きます。

香港で一般的なのは、蓮の実餡にアヒルの塩漬け卵が入っているタイプ。斬ると中に満月のような卵が表れる様子は、風情がありますね。最近ではチョコレート月餅やアイス月餅など様々な変わり月餅も人気で、その年に話題の新しい月餅を試すのも楽しみの一つです。

ハロウィン

10月31日はハロウィン!
香港でも、街のあちこちでハロウィンの飾りつけが賑やかになりますが、写真は私の住んでいたマンションのロビー。

香港では、ショッピングセンターはもちろん、マンションやオフィスなどでも、各ビル毎に季節の飾りつけを楽しみます。「季節の飾り」には、お正月(1~2月)はもちろん、イースター(3~4月)、中秋節(9月)、ハロウィン(10月)、クリスマス(12月)などが含まれます。

毎回、次の行事が近づくたびに、業者さんと一緒にマンションの管理スタッフさん達が総出で飾り付け。いつも作業が手早いので、ある日仕事から帰ってみると、ロビーが突然華やかな状態に大変身していて楽しいのです。

クリスマス

ビルのイルミネーション

香港のクリスマスといえば、ビクトリアハーバーに面したビルの壁面をかざるイルミネーション!

クリスマス仕様にデザインされたイルミネーションは、時期が過ぎるとお正月バージョンに変わり、旧正月まで賑わいは続きます。

実はこれ、その年の景気の良し悪しにより、電飾の凝り方や輝きかたが左右されるという、ある種の景気バロメーター。

クリスマスが過ぎると、まったく違うデザインのお正月用電飾に入れ替わるのが一般的なのですが、不景気な年は、クリスマスとお正月兼用だったり、部分的な変更にとどまることも多々あります。

ある年には、電飾のトナカイの角だけはずして馬に、サンタの帽子と服装を微妙に変えて金運の神様に変身させるという、超マイナーチェンジながら巧みに仕様変更したビルがありました。それはそれで発想が上手だな~と感心してしまいました。

クリスマスからお正月にかけて変化を観察するのも、楽しみ方の一つです。

 

マンションのデコレーション

クリスマス時期の香港。街中のビル外壁のイルミネーションや、ショッピングセンターのデコレーションが華やかになり、クリスマスセールでショッピング熱も高まる季節です。

また、どこのオフィスビルやマンションも、それぞれに気合の入ったクリスマス飾りが見られて心の踊る時期です。

写真は私の住んでいたマンションのロビー。季節行事のたびに管理会社が気合を入れて飾り立ててくれます。冬とはいえ比較的暖かな気候の香港でも、季節感を感じることができるのは、こういった飾りつけのおかげかもしれません。


更にマンションの入り口には、ツリーや人形を置くだけでなく、ガラスの扉にもクリスマス模様のシールが貼られるという気合の入れよう。ちなみに、雪の結晶のシールが貼られていますが、亜熱帯の香港に雪は降りません。

12月の気温は、だいたい15~20度程度。昼夜の寒暖の差もほとんどなく、晴れの天気も続く快適な季節です。たまに10℃前後まで冷え込むことがあったりもしますが、日本の冬と比べると格段に快適に過ごすことが出来ます。この雪だるまのようにマフラー・耳当てなんて身につけようものなら、暑さで融けます(笑)。

クリスマスの挨拶

日本ではこの時期、「良いお年を!」が一般的な挨拶ですが、香港ではみんなが「Merry Christmas!」と挨拶します。

友人同士はもちろんのこと、職場の上司や同僚、取引先など、目上・目下の関係を問わず幅広く使える挨拶です。宗教的バックグラウンドはそれほど気にせず、ごく一般的な挨拶として定着しています。

街でタクシーに乗ったら、降り際に運転手さんへ「Merry Christmas!」
マンションやビルの管理人さんにも「Merry Christmas!」

この時期の香港に滞在される方は、それが一期一会の関係であっても気軽に「Merry Christmas!」と声をかけてみてくださいね。